ルーツ探訪 2005年
12月

★ 黄金崎不老ふ死温泉(こがねざきふろうふしおんせん)
青森県


●黄金色の温泉に入って、長生きを。波打ち際の露天風呂は迫力満点。

 2005年最後のルーツ探訪(名湯・秘湯シリーズ)は、その名もめでたい“不老不死”温泉で締めくくりたいと思います。  
 世界遺産・白神山地を望む青森県西津軽郡深浦町。日本海に面した艫作(へなし)海岸に建つのが、一軒宿の黄金崎不老ふ死温泉です。黄金崎という名は、かつて黄金が産出されたという伝説にちなむといいますが、湯船を満たす温泉も見事な黄金色をしています。これは、湯の中に含まれる鉄分が空気に触れて酸化し、黄濁したため。うっかりタオルを落とそうものなら、茶色に染まってしまいます。温泉名には「黄金の温泉に浸かり、いつまでも健康で長生きしてほしい」という思いが込められているのです。温泉の歴史は比較的新しく、1970年、岩の割れ目から湧き出る湯を見つけ、海岸をボーリングして湯脈を掘り当てたといいます。  
 さて、当館の名物といえば、岩礁に囲まれた波打ち際にある野趣満点の露天風呂。日本海に向かってさえぎるもののない開放感はたとえようもなく、海に飲み込まれていくかのような見事な夕陽を眺めることができます。打ち寄せる波の音をBGMに、飛び交う海鳥たち、そして真っ赤な落陽。役者ぞろいの大自然のステージを目当てに、全国から多くの旅行客が訪れています。  
 ちなみに青森県にはもうひとつ、東津軽郡外ヶ浜町平舘(旧平舘村)に「平舘不老ふ死温泉」があります。遠く下北半島や陸奥湾を望む高台に建つ一軒宿は、津軽半島で最古の温泉といわれています。泉質は、ナトリウム−カルシウム−硫酸塩泉。弱アルカリ性。リウマチ性疾患、痛風および尿酸素質、創傷、高血圧症、動脈硬化症などに効能があるそうです。青森を訪れる機会があったなら、2つの「不老不死温泉」ツアーはいかがでしょうか。

●33の湖沼が点在する十二湖は、森林浴に最適。ブナの風を深呼吸!

 不老ふ死温泉でたっぷりと英気を養ったあとは、「森林浴の森100選」(林野庁・緑の文明学会、1996年)に認定された「十二湖」を歩いてみましょう。深浦町にある十二湖は、白神山地の西、広大なブナの森に点在する大小あわせて33の湖沼を総称しています。33あるのに、なぜ12? それは、十二湖の東に位置する崩山(くずれやま、940m)からの眺望(12の湖が数えられる)に由来するのだそうです。宝永元(1704)年、この地を襲った大地震によって、大規模な山崩れが発生、沢がせき止められて形づくられたといわれる十二湖。約200uの小さな池から6万4千u余りの湖まで、それぞれが豊かな表情を持っていますが、最も美しく神秘的とされるのが「青池」。その名の通り、青いインクを流し込んだような、真っ青な湖水を湛えています。幻の淡水魚イトウが養殖されている「越口の池」そばには、ビジターセンター(8:30〜16:30、ただし冬期閉鎖、TEL0173-77-2138)があるので、十二湖の歴史や自然に関する情報を収集してから、散策に出掛けるのもいいでしょう。



温泉INFORMATION

泉質はナトリウム−カルシウム−マグネシウム食塩泉、49℃、源泉かけ流し。効能は神経痛、腰痛、リウマチ、創痛、皮膚病など。立ち寄り入浴可能。車で東北自動車道・浪岡ICから101号で鯵ヶ沢経由、南下し深浦町をめざす、約2時間。公共交通機関はJR五能線艫作駅下車、「リゾートしらかみ号」乗車の場合はウェスパ椿山駅下車。列車の発着にあわせて送迎バスあり。問い合わせ: 黄金崎不老ふ死温泉TEL0173-74-3500



参考文献・サイト
『車で行ける名湯秘湯 東北編』JAF出版社
大原利雄『厳選極楽の露天温泉50』二見書房
『JTBの旅ノート Plus秘湯の宿』JTB
不老ふ死温泉公式HP http://www.furofushi.com/


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