ルーツ探訪 2003年
1月

★ 1世帯あたりの人口(世帯人員)日本一!
福島県安達郡白沢村 4.57人
(平成12年国勢調査/総務省・統計局統計センター)


● 止まらない小世帯化。17年後には、ひとり暮らしがもっとも多く。

 お正月。ふるさとに帰省して、家族そろって新しい年を迎えられた方も多いのではないでしょうか。両親兄弟、甥や姪も加えて、賑やかにおせちをつつく風景は、「大家族のだんらん」という言葉がぴったりですね。しかし近年、日本は小世帯化への歩みを早めています。「国勢調査」によれば、平均世帯人員は1950(昭和25)年には4.97人であったのが、1970(昭和45)年には3.69人に減少し、さらに2000(平成12年)には2.67人となっています。
  小世帯化の主因として挙げられるのが、「家族の機能の変化」です。昔は、家族は生活の単位であると同時に、生産の単位でもあったため、子どもを産み育てることは労働力を得るという点でたいへん重要でした。しかし、戦後の高度経済成長を経て産業構造が変化し、サラリーマン化が進むと、家族における生産活動の意味は次第に薄れ、多くの子どもを産む必要がなくなり、世帯人員が減少したと考えられています。そして、もうひとつの要因となるのが「少子高齢化」です。少子化の背景にある未婚・晩婚化の影響や、高齢者の増加により、夫婦のみの世帯や単独世帯が増え、小世帯化に拍車がかかる結果となっています。
 このような少子高齢化等を原因とした世帯人員の減少は、今後も続くと見込まれています。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、高齢者単独世帯の大幅な増加などにより、2020(平成32)年には、大半の都道府県において、ひとり暮らしがもっとも多くなると予想されています。



● 3軒に1軒が6人以上の大家族!福島県安達郡白沢村。

 都道府県別にみて、平均世帯人員がもっとも多いのは山形県の3.25人、次いで福井県3.14人、富山県3.09人、佐賀県3.08人、新潟・岐阜県の3.07人となっています。逆にもっとも少ないのが東京都の2.21人で、ひとり暮らしが家族類型全体の約40%を占めています。一方、東京平均の2倍以上の世帯人員を誇るのが、福島県安達郡白沢村です。1世帯あたり4.57人は日本一の多さ。2028の世帯のうち、3軒に1軒が6人以上の大家族です。
 近年、結婚や出産を選択しない人が増えるなど、家族について人々の意識が大きく変化してきています。小世帯化の急速な進行も、価値観の多様化のあらわれとみることができます。自分は「どんな生き方をしたいのか、どんな家族をつくりたいのか」を、新年に寄せて真剣に考えてみるのも良いかもしれませんね。


参考文献

平成12年度国勢調査/総務省
平成13年度国民生活白書/内閣府編

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