トライアスロン
● 泳ぎ、漕ぎ、走る・・・225kmの距離に打ち勝った者にアイアンマンの称号を
トライアスロンの大会が初めて行われたのは1974年。アメリカ西海岸サンディエゴにある陸上クラブで、レクリエーションを目的に開催されたのが始まりといわれています。スイム(水泳)・バイク(自転車)・ラン(ランニング)の3種目を連続して一度にこなすことから、ラテン語で数字の3を意味するtriaを冠してトライアスロン(TRIATHLON)と名付けられたそうです。
片や元祖よりもすっかり有名になってしまったのが、ハワイのアイアンマン・トライアスロン選手権。その発祥にはこんなエピソードが伝えられています。『アメリカ海軍のエンジニア、ジョン・コリンズはハワイ勤務になったのをきっかけにさまざまなスポーツイベントに参加していた。そんなある日、マラソン大会の表彰パーティーで「世界で最高の競技能力を持つアスリートは誰か」という議論を始める。「ランナーが一番だ」「いやいや、スイマーさ」と話は一向に収まる気配がない。そこでジョンは「いっそのこと、ハワイ諸島で行われている3つのレースを一度にやって、すべてをクリアした勝者をアイアンマン(鉄人)と呼ぼう」と提案した』というもの。その3種目とはワイキキ・ラフウォーター・スイムの約3.8km、アラウンド・ジ・アイランド・バイク・レースの約180km、ホノルル・マラソンの42.195kmの合わせて225km余り。まさに鉄人並みの体力と精神力が要求されるレースは、1978年2月、わずか15名の参加者を集めて行われました。うち完走者は12名、優勝タイムは11時間46分58秒(現在では8時間前半がレコードタイム)でした。ちなみに件のジョン・コリンズも17時間で完走しています。当初はテレビやスポーツ雑誌で"酔狂のショー"として紹介されることの多かったトライアスロンですが、その魅力が知られるにつれてファンや競技人口が爆発的に増えていきました。
● 一気に認知と人気が高まったトライアスロン。苛酷さが最大の魅力?
トライアスロン・アイアンマンシリーズの誕生から3年後、鳥取県の皆生温泉で日本初の大会が行われます。1985年、沖縄県宮古島で行われた大会がテレビ放映されるや日本でもあっという間に広まり、現在、潜在層を含めると20万人超の愛好者を数えるまでとなり、毎年150とも200ともいわれる大会が開催されています。
一方、世界的な人気の高まりを受けて、2000年のシドニーオリンピックに初登場、続いて2004年のアテネでも正式競技として採用されます。国内では2004年埼玉彩の国まごころ国体で、デモンストレーション競技として行われる予定です。
さて、このトライアスロン、苛酷でつらいといわれる割には、他の競技と比べてその普及がかなり早いようです。自己の能力・気力の限界に挑戦し、ひたすらゴールをめざす求道者のようなトライアスリートたち。一体何が彼らを惹きつけるのか。こればかりはやってみなければわからないようです。